「債務整理をするとブラックリストに載ってしまう?」
「ブラックリストが怖くて債務整理に踏み切れない…」
こういった疑問や不安を持っている方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
実際にブラックリストについてのお悩みは、ご相談者様からもたくさん頂いているのが現実です。
しかし、債務整理をしてもブラックリストは怖いものではありません。
というのも、そもそもブラックリストなどというリストはこの世に存在しておらず、世間から俗称によってそのように呼ばれているにすぎません。また、仮に債務整理をすることでブラックリストに名前が載るのだとしても、期間経過によって抹消させることができるのでどうかご安心ください。
というわけで今回は、債務整理をしてもブラックリストは怖くない理由について弁護士が徹底解説していきます。ブラックリストという一人歩きした言葉に怯えるのではなく、正しい知識を身に着けて借金問題と向き合っていきましょう。
ブラックリストになると、生活にどの程度影響するのか
ブラックリストに載ってしまったら、もう人生終わったようなものだ。このように誤解している方も少なくありません。なにも影響がないわけはありませんが、「お金」に関すること以外の制限はほとんどありません。詳しく見ていきましょう。
お金を借りたり、分割で支払うようなものは影響がでる
ブラックリストに掲載されると、個人信用情報機関で信用情報を確認する必要がある契約は出来ないです。
・クレジットカードの新規発行
・カードローンやキャッシング
・携帯電話購入の際の分割払い
これらのものは、信用情報機関をもとに審査されますので、ブラックリストになっていると契約できません。どうしても必要な方は、デビットカードを作ったり、格安スマホや中古スマホなどを現金で購入するようにしましょう。
ブラックリストによる影響がでてしまいそうなもの
注意が必要なのは、賃貸住宅の契約です。今は保証会社を必須としている物件が多く、保証会社の契約時に信用情報の照会がされるため、断られるケースがあります。ただし、すべての保証会社とは限りませんので、不動産会社に相談して、契約できる物件を紹介してもらいましょう。
一般的な生活には影響はありません
前項で説明した通り「お金を借りる、分割する」状態になるもの以外にはほとんど影響がでません。つまり「信用情報機関への照会」がないものについては、ブラックリストかどうか知る由もないからです。就職や結婚、出産や子育て、保育園や学校などは「信用情報機関に個人情報を照会する権利」がありませんので、問題ないと言っていいでしょう。
ブラックリストになっていることは、基本的に周りにはバレません
ブラックリストになっていることを、家族や友人が知ることは難しいでしょう。借金の督促状を見られてしまった、裁判所から郵送物が来た、などを知られないようにだけ注意すれば問題ありません。また債務整理を弁護士等に依頼をしているのであれば、直接連絡は来ないので、安心してよいでしょう。
信用情報機関は、個人情報のデリケートな情報を扱っています。誰でもその情報を取得できないように厳正に管理されています。法律に基づいた手続きでしか個人情報は取得できませんので、家族や友人、勤め先などに知られることはありません。家族や友人に、不動産の契約やスマホの分割購入などを依頼しないように気をつけましょう。
ブラックリストと呼ばれる信用情報が、記録として残っている
冒頭でも触れたように、ブラックリストというリストはこの世の中には存在しません。このブラックリストというのはあくまでも俗称で、実際は信用情報機関に掲載される事故情報のことを指しています。
また、信用情報機関というのは借入れを経験したことがある方であれば、すべての方の情報が登録されています。信用情報機関に名前が掲載されるというのは、ごく当たり前なことなのです。
ただし、債務整理をすることで信用情報機関に「事故情報」が登録されることで、数年間は新たな借入ができないというデメリットを背負うことになっています。
というわけで、この事故情報についてさらに深掘りしていきましょう。
いわゆるブラックリストとは信用情報機関のこと
いわゆるブラックリストというのは、信用情報機関の事故情報を指しています。
信用情報機関とは、日本全国の金融会社から登録される情報を管理し、加盟されている金融会社に情報を提供することで、消費者との信用取引を支える役割を担っている機関です。簡単に言えば、顧客の過去の借入情報が検索できるシステムといったところです。貸金業者や銀行は、この信用情報機関に検索をかけることで、目の前の顧客の過去の借り入れ状況や現在の滞納状況などをチェックし、融資するかの判断材料としています。
つまり、この信用機関に債務整理をしたという事実、要は事故情報が掲載されることで、検索をかけた業者はその顧客を警戒し、カードやローン審査に落としているというわけです。
ほとんどの人が信用情報機関に登録されている
そもそも信用情報機関には、過去に貸金業者や銀行から借り入れをしたことがある方であれば、ほとんどの人が登録されています。この信用情報機関に名前が掲載されてしまうことが、なにかしらの不利益を与える原因になっているわけではありません。信用情報機関への掲載がまずいというのは、まったくの誤解です。
債務整理をすると事故情報が登録される
債務整理をすると信用情報機関には事故情報が登録されることになります。この事故情報が影響して、数年間は借入れができなくなっているという仕組みです。とはいえ、その期間は5年程度となっていますので、将来ずっと借入ができなくなるわけではありません。詳しくは後述しますが、債務整理をした場合は5年、長くても10年程度で事故情報は自動的に抹消されるため、そこまで心配する必要はありません。
弁護士に依頼すると信用情報はどうなる?
では、弁護士に債務整理を依頼した段階ではどうなるのでしょうか?
信用情報機関によって若干取り扱いは異なるものの、債務整理のために支払い遅延が発生すれば、その情報は事故情報として掲載されることになります。よって、依頼して即座に事故情報として掲載されることはないものの、専門家に債務整理を依頼すれば、残高調査や方針決定のために数ヶ月間は返済が完全にストップすることになります。となれば、当然ながらその事実が事故情報として掲載されると考えて間違いありません。
債務整理をした場合には事故情報が登録される
債務整理をすると信用情報機関には事故情報が登録されることになります。
この事故情報が登録されることで、新規の借入やクレジットカードの作成が困難になります。また、自動車や教育、住宅といったローンが組めなくなる点も、まさに債務整理のデメリットと言えるでしょう。
しかし、債務整理によって借金から解放できることを考えれば、一概にデメリットばかりとも言えません。それに事故情報はいずれ抹消されることになっています。借金に悩まされているのであれば、今は信用情報への影響よりも、借金問題を解決させるほうが優先度は高いと言えるでしょう。
借金がある状態で過払い請求したら一時的に登録される
借金がある状態で過払い請求をした場合、信用情報機関には一時的に債務整理の情報が登録されることになっています。過払い金を回収した上で借金を清算することは、債務整理手続きと同義であるためです。
とはいえ、あくまでも一時的であり、永久に事故情報として登録される心配はありません。
完済した後の過払い請求では影響がない
完済後の過払い請求の場合、現在は信用情報機関に一切の影響を与えることがありません。
というのも、以前までは完済後の過払い請求であっても、信用情報機関にその事実が掲載されていました。しかし、これが理由で過払い金請求を躊躇する方が出てきたため、2010年に金融庁から「過払い金返還請求権は法律で認められた正当な権利である」とし、信用情報に登録することを禁止する旨の通達がありました。これをきっかけに、完済後の過払い請求においては信用情報に影響が出ないことになっています。
信用情報機関の事故情報の登録期間について
では次に、信用情報機関の事故情報の登録機関についても詳しく見ていきましょう。
国内で主要な3つの信用情報機関について、下記に簡単にまとめてみました。
信用情報機関 | 事故情報の登録機関 |
株式会社シー・アイ・シー | 5年 |
日本信用情報機構 | 5年 |
全国銀行個人信用情報センター | 5年~10年 |
シー・アイ・シーは5年
株式会社シー・アイ・シーは、主にクレジットカード会社や携帯電話会社が加盟している信用情報機関になります。債務整理をした場合、その情報は5年間保有されることになっています。
日本信用情報機構は5年
日本信用情報機構は、主に消費者金融が加盟している信用情報機関になります。債務整理をした場合、その情報は5年間保有されることになっています。
全国銀行協会は5~10年
全国銀行個人信用情報センターは、主に銀行や信用金庫が加盟している信用情報機関になります。債務整理をした場合、その情報は5年間保有されることになっています。ただし、債務整理の中でも自己破産をした場合に限り、破産手続開始決定等を受けた日から10年間保有されるとしています。
おおむね5年
上記からもわかるとおり、信用情報機関に事故情報が掲載されるのはおおむね5年程度です。
自己破産の場合だけ例外的に10年となっている機関もありますが、それでもいずれは抹消される情報であることに違いはありません。債務整理をしたとしても、完済から5年程度で事故情報が抹消されるのは紛れもない事実です。いつ終わるかわからない返済生活を続けるよりも、債務整理を利用してなるべく早い段階で完済してしまったほうが、その後の人生にメリットがあるといっても過言ではないでしょう。
ここで1点注意したいことについて触れておきましょう。
上記のとおり、信用情報機関の事故情報は5年程度で抹消されますが、債務整理をするのであれば現在借入をしている貸金業者から、再度の借入をするのは困難と考えておきましょう。というのも、各々の金融機関は自社で顧客情報を別途管理しています。いわゆる自社ブラックと俗称されるものです。
そして、過去に債務整理をした情報は、どのタイミングで抹消するといった公言は一切していません。よって、債務整理の対象としていた貸金業者からの借入は、将来的にも困難と考えておきましょう。
とはいえ、貸金業者も銀行も世の中にはたくさんあります。これがデメリットとなって日常生活に悪影響を与える心配はまずないため、こちらの注意点は頭に入れておく程度で十分です。
ただ、以前借入のあった業者の審査に落ちてしまったからといって、事故情報が抹消されていないということにはなりません。債務整理から5年たった際は、ご自身で信用情報機関に問い合わせてみましょう。
ブラックリストが気になる場合の対応方法
債務整理をする上で、どうしてもブラックリストが気になるという方は、以下の対応方法をオススメします。
まずは過払い金がないか確認しよう
まずは過払い金の有無について確認してみることをオススメします。
過払い金で借金が完済できるのであれば、ブラックリストを気にする必要はありません。
なお、過払い金が発生している可能性がある方は、2010年より以前に貸金業者との取引があった方です。ご自身の最初の借入がいつだったのか確認してみましょう。
もし、正確な時期がわからない場合は、弁護士に調べてもらうという方法もあります。その際は、債務整理ではなく単に履歴開示だけである旨を強調してもらうことで、信用情報機関への事故情報の掲載を回避できる場合があります。よく弁護士と相談しながら手続きを行いましょう。
ご両親を頼ったり、貯金を崩して借金を完済させよう
債務整理せずに借金問題を解決できるのであれば、それに越したことはありません。そこで、ご両親に一時的に立て替えてもらったり、貯金があるのであれば崩して一気に借金を完済させるのも良い方法と言えます。
そもそも貸金業者というのは、利息によって利益を得ています。そのため借金には必ず利息が付きまとってしまいます。完済までの期間が長ければ長いほど、利息を含め多くの金額を返済することになってしまうのです。もし、早い段階で借金を完済できるのであれば、将来支払うはずだった利息分はすべて手元に残すことができるといっても過言ではありません。
クレジットカードが必要な場面ではデビットカードを利用しよう
債務整理をするとクレジットカードが持てなくなってしまうというのは、まさにデメリットの1つとなっています。しかし、近年ではデビットカードを利用することで不便さを感じることはなくなりました。デビットカードとは、銀行口座の残高の範囲内でカード決済を利用できるサービスのことです。借金とは無関係であるため、たとえ債務整理をしてもデビットカードであれば保有することができます。もちろん口座残高以上の利用はできませんが、借金の癖を治すという意味では非常に有効な手段であると言えます。
ETCカードが必要だったらデポジット式のETCカードを作ろう
移動の面でETCカードが必要な方であれば、デポジット式のETCカードを作成することで解決します。こちらも債務整理の有無は関係なく保有できるため、デビットカード同様、生活の不便さを解消できる方法です。
弁護士に無料相談してみよう
弁護士に相談するだけであれば、信用情報機関に事故情報が掲載される心配はありません。現在の借金の状況を踏まえ、弁護士への無料相談を利用してみるのも良い方法の1つです。
現在の返済と生活状況では債務整理をすべきなのか?債務整理をするとしたら、どの手続きが自身に合っているのか等々、借金問題を解決するためのアドバイスを無料で受けることができます。
また、相談したからといってその場で依頼を強制されるわけではありません。一度持ち帰ってゆっくり考えてみたり、他の弁護士に相談したりといったように、自分のペースで検討するようにしましょう。
まとめ
借金問題に悩んでいるのであれば、一度債務整理を検討してみましょう。債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産といったように、状況に応じて借金問題を解決させる手続きがあります。
ブラックリストが怖いからと何もしないでいると、いつまで経っても借金問題が解消しないばかりか、利息ばかりが増えていくことにもなりかねません。現在の生活が借金返済によって圧迫されていると感じるのであれば、一度借金問題と向き合ってみることをオススメします。そして、せっかく借金問題を向き合うのであれば、これを機に専門家に相談をし、解決までの道筋を作ってみてはいかがでしょうか?
弁護士であれば、あなたにとって最も的確なアドバイスをすることができます。人生はまだまだこれからです。借金に依存しない生活スタイルを身に着け、これからの長い人生を豊かに過ごせるようになりましょう。